Nola
縦マンガ
原作大賞

今回⼀番⾼く評価した作品です。 「悪役令嬢もの」に詳しくない⼈でも楽しめるように、世界観や設定が丁寧にわかりやすく描写されており、読ませる⼒がありました。 主⼈公のキャラが⽴っており、明確なモチベーションもあるので、今後の展開に幅をもたせることもできそうです。 50 話以上の⻑期連載が好まれる縦マンガの原作に、とても向いている作品だと思います。 今回⼤賞には⾄りませんでしたが、5話以降のプロットでの展開がどうなるか明確だと、よりよかったです。

話のテンポ感がよく、続きが読みたくなる構成で、バトルアクションも毎話⼊っており、⾮常に⾯⽩かったです。 主⼈公の、⾃分の⾝体を犠牲にするスキル（＝発動すると死に⾄る）を、ゾンビ化で使えるようになるというアイディアがとても秀逸な⼀⽅で、どうしても残酷な場⾯が多いため、縦マンガでフルカラーにした際、絵的な部分でグロテスクになりすぎる点が、⼤賞には推せなかった理由です。 作品としては、とても⾼く評価しています。

主⼈公に感情移⼊しやすい導⼊と、続きが気になる展開で、読者を物語の世界に引き込む⼒がありました。 ただ、主⼈公の⽬的意識がぼんやりしているので、「転⽣後も⼈を助ける⼒を⼿に⼊れたはずが、それをなかなか活かせない現状を⾃分で打破しようとする」など、前世とうまく絡めた⽬標がほしいところ。 ターゲットの読者層も曖昧な印象なので、たとえば男性読者を狙うなら、ヒロインとなる⼥性キャラを早くに登場させるなど、⼯夫が必要だと思います。

主⼈公をはじめ、キャラがとても魅⼒的で、会話のテンポがよく、世界観もしっかり表現されており、読ませる⼒がある作品です。 呪われてから他⼈を拒絶して⽣きている皇⼦の頑なな⼼を、主⼈公が無⾃覚にもどう攻略していくのか、先の展開を楽しみに読みましたが、実際は呪いを解く謎解きに重点が置かれており、主⼈公と皇⼦の恋愛模様を期待する読者のニーズとズレが⽣じている点が残念でした。

健気で努⼒家な主⼈公は、読者が思わず応援したくなるような魅⼒があり、好感がもてます。 世界観も丁寧に描写されており、⼩説としての⽂章⼒、構成⼒を⾼く評価する⼀⽅で、設定があまりに複雑なため、わかりやすくスピーディーな展開が好まれる縦マンガで扱うには難しい印象を受けました。 ヒーローとの恋愛の描写は、読者が⼀番期待するところなのに展開が早すぎるので、もっと焦らしてじっくり描いてほしいです。

縦マンガでは定番とも⾔える設定ですが、展開次第ではとても⾯⽩くなりそうな企画です。 冒頭が「復讐もの」を想起させる展開でもあるため、「家族もの」としての⾯⽩さが５話まででは計りづらく、プロットからも明確には⾒えてこなかったのが残念でした。

「ダンジョン」+「公務員」という企画の切り口は面白く、期待して読みましたが、展開が地味に感じました。 主人公にもっと明確な目的意識をもたせたり、キャラ同士の会話(かけあい)を面白く描いたりと、もうひと工夫がほしいです。

世界設定やプロットが高い精度で作り込まれており、物語の世界へ引き込む力を感じましたが、ターゲットの読者層が絞りきれていない印象です。 タイトルからして、恋愛要素を期待する読者が多いと思いますが、5話までにほとんど恋愛を感じさせる描写がないのが残念でした。

作品の完成度の高さを評価しましたが、今回の募集ジャンルからは外れた作品のため、選外としました。 主人公の目的がはっきりしているのでとても読みやすいのですが、ディテールの描写が足りないため、ご都合主義な展開に思えてしまうのが残念です。

前世の記憶のある主人公に指摘され、ヒーローが婚約者(悪役令嬢)の魅力に気づいていく展開等、「悪役令嬢もの」というジャンルを利用した独自の面白さがありました。 ただ、一人称の視点がかなり入れ替わる構成は、縦マンガでは扱いづらく感じます。 主人公の幼さを、仮名交じりの地の文(自分語り)で表現するのは、小説として読みづらかったです。

「肝っ玉母ちゃん」というスキルに興味をひかれましたが、その設定がほとんど生かされないまま、5話まで物語が進んでしまったのが残念です。 作品の核となる面白い部分は序盤から見せないと、読者がついてきてくれません。 登場人物がかなり多いのも、縦マンガで扱うには難しい印象です。